自業自得美しい時代へ
くふふ。
ぐふふ。
あははははは!!
「こえーから!!」
「ん?何が?」
「お前気づいてないかもしれないけど、
さっきから笑い声響いてるんだって。
見ろよ、1年がビビってるだろ」
「え?」
俺声だして笑ってた?
振り返ると、俺と目があった1年がビクッとした。
一応聞いてみる。
「こ、怖かったか?」
「い、いえ!
笑顔が素敵でした!!」
・・・ビビってるな。
声に出てたのは確かなようだ。
でも笑うなってのは無理がある。
だって、思いがけず智くんと会えて、
どえらい格好のおかげで、2人っきりになれたし、
その後・・・キスも・・・
ぐふっ。
ぐふふ。可愛かったな、さっきの智くん♡
「思い出し笑いしてないでさっさと作業しろよ!
バカ部長!!」
「バカは余計だ!KY副部長!」
「俺のどこが?」
「さっき邪魔した。
いい感じだったのに・・・」
「やっぱりお前はバカだな。
色々考えが足らん!」
「俺のどこが?」
「部員が集まるってのに、
部室でことに及ぶ気か?困るのはお前じゃない。大野さんだぞ!
さっきだって真っ赤な顔して逃げていったじゃん」
「・・・・・」
・・・確かに!
真っ赤だったな。
でも、俺だって、
ここであのまま最後までなんて・・・
「それに、お前、気づいてないだろ」
「何にだよ!」
「・・・彼シャツ」
「は?何?」
「知らないの?
彼女が彼氏のぶかぶかシャツ着て萌え」
「萌え?」
「お前の体操服着た大野さんを、
狼だらけの校内に放つとか・・・。
お守りつけててもやばいかもな」
・・・な、なんてことだ!!
「智くん羊が狼に食べられちゃうじゃんか!!」
「しかも、その智くん羊のそばには最強狼がいる」
「岡田狼か!!」
やっべ!
そこまで考えてなかった。
本当だよ、考えが及んでない。
岡田狼に食われる前に、智くん羊を捕獲せねば!
「おい!こら!どこに行く!」
「捕獲に行かないと!!」
「残念ながら時間切れ〜」
「は?」
「聞こえない?
集合の放送かかってるぞ」
「え?」
『全校生徒にお知らせします。
午後の部を開始したいと思います。
全員所定の場所にお戻りください。
部対抗リレーの選手の人は準備して、入場門へ並んでください』
「・・・ほらな。
行くぞ!バカ部長!出番だ」
「え?でも智くん羊が!」
岡田狼に!!
「自業自得。
その智くんが応援してただろ?
部対抗出ないで、そんな理由で自分のことに来たら、
どう思うだろうな?」
・・・・・
絶対に怒るな。
何バカ言ってんだ!って。
怒りすぎて、
しばらく口聞いてもらえないかも。
でもだからと言って、
放置するわけには・・・
「・・・岡田狼もリレー出るんじゃね?」
「ん?」
「今回の部対抗、言い出しっぺは確か・・・」
「岡田狼だ!そうじゃん!
なら出るはず!!」
「ならすることは1つ」
「部対抗1位になる!!
智くんに近づかないよう牽制する。
そしてついでに、智くんにかっこいいとこ見せる!!」
「・・・本当、
大野さんが絡むと・・・
お前が単純でよかったよ」
「ん?なんか言ったか?」
「何も!ほれ、行くぞ!
アンカー気張れよ!」
「おう!任せとけ!」
バカにされた気がするが、
今は打倒岡田だ!
サッカーで鍛えた脚力見せたる!!
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