夜空 クオリティ&チャレンジ

　遠くの町からひとりの旅人が、その町にたどり着いた。

　旅人は町が一望出来る崖の上から、その町をそっと見下ろしてみた。

　山々に囲まれた小さな町は、もう夜のとばりに包まれていた。

　旅人は行商をしていた。

　ひと通りの事も経験し、そこそこの年齢に達していた。

　旅から旅の生活にも、そろそろ疲れが見え始めていた。

　そんな旅人は、崖の突端にしゃがみ込み、革トランクを脇に置いて、煙草に火を点す。

　夜空には、煌煌と星が輝いていた。

　そして、そっと崖を見下ろすと、そこに灯った区々の明りが、美しい星空のように見えた。

　そんな町の灯を眺めながら、旅人はため息をついた。

　この町は、旅人の生まれ故郷だった。

　だが、明日の早朝にはまた列車に乗って、遠くの町へ行かねばならなかった。

　そうだ、10年以上履いている相棒のボロ靴を、明日はきれいに磨いてやらねば。

　旅人はふとそんな事を思い、うっすらと涙でにじんだ目をこすりながら、煙草をふかしてまた夜空を仰いだ。

　そのとき崖の下の家では、少年が裸電球の下で理科の教科書を読んでいた。

　少年は何気に窓から顔を出し、夜空を見上げてみた。

　すると、崖の上にボウッと光るものが見えた。

　少年は、それはきっと夜空からそっと降りて来たお星様であろう、と思った。

　この度は大阪での地震で被災された方々、また命を落とされた方々にお見舞いとお悔やみの言葉を述べさせていただきます。

　どうか一日も早く今までの暮らしが取り戻せますよう、そして心の傷が癒されますように、心よりお祈り申し上げます。

悩んでも 悔やんでも

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