ハーベスト椿油

セザンヌ ラスティンググロスリップPK12

この色だけ廃番らしいんだけど、使ってるのピンポイントでって悲しいな

結構私にとって神リップだったから何本買っておこうか悩んだんだけど、リップは流行もあるしと思って頑張って一本だけにした

他のリップにハマったら使わなくなるかもだしね

あとリップパレットの右上使い切った

結局左下はいい感じになったと思ったんだけど、まだちょっと濃かったからそのままじゃ使えなくて薄めるの欲しいなーって思ったんだよね、、

でも持ってないからこれらを混ぜてまた右上の空いたところに入れた

今回は全く濃いピンクは入れないで椿油入れてオイルリップにした

入れるのミスってこんなになった、、

でもツヤツヤで透け感のあるリップになっていい感じ〜

今日来た今週の野菜！

前回はさくらんぼだったから二回連続で好きな果物で嬉しい

翌日、夜。降ったり止んだりを繰り返していた雨が、本降りになって雨戸を叩く。腕の中、鈴虫ちゃんが小さな体を捩った。密着しすぎて寝苦しいのかと思い、抱き締めていた腕を解き背中を向ける。

まだ幼い禿たちは、時折故郷が親が恋しいと泣く。

芸事には厳しい秋斉さんは、他の置屋の主人に比べるとどこか甘いところがあり。こうして禿の甘えに応じて同衾することは、ある程度私の判断に任され許されていた。

向けた背中が感じる、子供特有の熱の高さ。ともすれば暗い方へ暗い方へと傾きがちな気分も、鈴虫ちゃんのおかげで幾分和らいだ。

それでも、有明行燈の薄明かりの中、雨音に耳を澄ましていると、甦って来るのは昨日の山崎さんの言葉だ。

切腹される前に毒を盛っておけばよかったと言い放った彼は、凍りついた私に鋭いままの視線を向け、自分が恐ろしいかと問うてきた。

答えられずに逸らそうとした視線を、顎を摘まんで引き戻され、噛んで含めるように言い渡された言葉。

「あんさんの中で決して揺るがへんもん、それだけ見てたらなんも怖いもんはないはずや」

決して揺るがないもの――胸の内で繰り返し、かき乱され、モザイクのようになってしまった感情を寄り分ける。

山南さんが好きだという気持ち。

彼が死んでしまって悲しいという気持ち。

半面、やはり消せない彼を憎く思う気持ち。

どれが、私の本当の気持ちなのだろう。

「さくらはん」

名を呼ばれ、背中にぺたりと掌の熱を感じた。

「あ、ごめん。起こしてしまったね」

煩悶する気配が睡眠を妨げたのかと、向き直った鈴虫ちゃんは、ううんと小さく首を振る。

「うち、ずっと起きててん。言おうか言わんとこうか迷っとったんどす」

「・・・・・・？」

何を言い出したのかと戸惑って、先を促せば、大きな瞳にいまだ逡巡の色を濃く残したまま、鈴虫ちゃんは何度か唇を開いては止めた。

「あの、な。昨夜(ゆんべ)、お座敷の帰りにな」

隣の部屋に、秋斉さんはいない。今朝からどこかに出かけたままで、一度も戻ってこなかった。

じきに大門も閉まるから、きっと今夜は戻ってこないだろう。

それでも誰かの耳が気になるのか、鈴虫ちゃんは伸びあがって私の耳に口を寄せ、小さな小さな声を吹き込んでくる。

「置屋の前にお侍が立ってはって。雨やったから笠を被ってはったし、誰やわからんかったんやけど」

雨の中、一人佇む侍。

不穏なものを感じた迎え役の佐平治さんが、鈴虫ちゃんを背後に庇う。

彼が侍に声をかけようと一歩踏み出した時、侍は笠を持ち上げ、寸の間、置屋の二階を見上げた。

佐平治さんの背中越し、軒先の提灯に照らされた横顔が。

「壬生浪の副長はんやった」

鈴虫ちゃんの幼い声が、甘くも満足気にそう告げた。

「佐平治はんには、さくらはんには言うな言われてん。後で塩まで撒いてはった。男衆はみんな、あの人を嫌わはるけど、うちはちゃいます」

言葉を失った私の手をきゅっと握る鈴虫ちゃんの手が、熱を孕んで湿っている。

「姐さんたちが、いっつも言うてはる。『分限者に身請(ひ)かれるのが遊女の幸せ。けんど、惚れおうた男と添えるのが女の幸せ』やて」

胸が、喉が熱くなり、私は何度も目を瞬(しばた)かせた。

「そうだね・・・教えてくれてありがとう」

湿った声でそう言うのが精一杯。せめてもの思いで、抱き寄せた小さな体は、擽ったそうにうふふと笑った。

「今度の『六の日』は、逢えるとええね」

応える代わりに、抱き締めた背を何度も撫でる。

おかっぱに切りそろえられた髪からは、甘く椿油の香りがした。

(揺るぎないもの・・・・・・)

何を迷っていたのだろうかと、思う。問われるまでもなく、私にとって揺るがない気持ちは一つ。

土方さんを愛している。それだけなのに。

(でも、先生・・・・・・)

雨音と鈴虫ちゃんの寝息を聴きながら、目を閉じる。

土方さんを慕う気持ちは同じだけれど、だからといって私は山崎さんと同じようには考えられない。土方さんのために、山南さんを殺しておけばよかったなどと、思うことはできない。

自分の中のどす黒い感情への恐怖も、やっぱり消えない。ただ・・・・・・。

―――二人でいる時ゃ、俺はお前のもんだ

思い出す、土方さんの言葉。

私を抱く手の、優しさ。口づけの、甘さ。

失いたくない、と強く思う。

忙しい日々、ぽかりと空いた一欠片の時間に、私を思ってくれたのだろう彼を。

雨足は強まり、止む気配もない。けれど、春の雨は芽吹きを招ぶ雨だ。

雨が止んだら、光縁寺に行こう。山南さんの墓前に立って、彼の死と向き合おう。そこでどんな感情が湧きおこっても、目を背けるのは止めよう。

鈴虫ちゃんが聞かせてくれた話が、芽吹かせてくれた勇気を胸に、私はゆっくり目を閉じた。久しぶりに、悪夢を見ずに眠れそうな気がした。