お父さんのための雑食講座
Part48 最終章
さらに一年が過ぎ、6月。
今年の夏はとりわけ早く訪れた気がする。5月から暑くなり始めて、6月にはさらに気温が上がり、まるで大暑の頃のよう。
アルシーはウェイウェイを手伝ってい草ラグを担ぎ、ウンウンうなって階段を上りながら、その間ずっと悲鳴を上げ続けている。 「ウェイウェイ、ここって高級住宅じゃなかったっけ。どうしてエレベーターが故障してんのよ」
「何が高級よ。ちょっと家賃が高いだけじゃない」 ウェイウェイも疲れすぎてエネルギー切れ寸前だった。彼女の方がアルシーよりはるかに大荷物で、手にはこまごました物でぎゅうぎゅう詰めの袋2つを持ち、腕を曲げて夏用枕2つ脇に抱えている。
シャオリンとスースーは彼女たちの後ろにいる。持っているものは彼女たちよりやや軽めなもので、1人は茶器1セット、1人は大きな花瓶を抱いている……
これらはすべてウェイウェイがたった今、ショッピングセンターで買ったものだ……
もともとは一緒に夕食を食べるだけのつもりだったが、今日婚礼衣裳が来たというウェイウェイの話を聞くと、シャオリンたちは見に行かなきゃとうるさく喚き立てた。
ウェイウェイはまるでお構いなくショッピングセンターを駆けずり回ってたくさんの品物を買い、彼女たちをポーターとして使った>0<
シャオリンがだるそうに尋ねる。 「あとどれくらいあるの?」
「前に来たことあるでしょ」
「だけど、こんなに階段上らされて私、もう気絶しそう」
ウェイウェイが手を上げて汗を拭う。 「もうすぐ着くわよ。あと2階上がればね」
「まだ2階もあるの~~~」 スースーがショックで泣き叫ぶ。
どうにかこうにか足を踏み出して、もう2階上がった。ウェイウェイがドアを開けるやいなや、シャオリンたちは転がり込んでソファの上に倒れた。アルシーは横たわった姿勢のまま視線を部屋の中あちこちに巡らせ、ふと突飛な考えが浮かんで口にする。 「ウェイウェイ、私に旦那さまが見つかった折には、大神に我が家のデザインするよう頼んでよね」
「私もお願い。私、この家のこういう感じ好きだわ」 シャオリンも同調して言う。彼女とアルシーは初めてウェイウェイの家に来たわけではないが、来るたび毎回いくつか褒め言葉を述べるのが習慣になっていた。
ウェイウェイはお茶を入れながら、彼女たちに答える。 「私だってデザインに参加してるのよ。何で私に頼まないの」
「バカじゃないの。へんてこな部分が全部アンタのデザインでしょ」
ウェイウェイは気がふさいだ。いつだってこう。明らかに私と大神が一緒にデザインしたプランなのに、それを見た人はいずれも大神の手柄にしてしまう。
フウッ~~~大神の人の目をくらませる光の下、私にはいつ頃 日の目を見る日が来るのだろう?
スースーはこれまで2回とも用事があって来られず、ウェイウェイ宅を訪問するのは今日が初めてだ。彼女たちが談笑している合間に、すでに部屋の中を方々歩き回っている。
ミンウェイ苑に位置する高層マンションは、昨年の中秋節にウェイウェイとシャオ・ナイが婚約した時、大神の両親が購入して彼らに贈ってくれたものだ。
正直な話、これまでウェイウェイは親が我が子のために家を買う義務を負っているなどと考えたことがなかった。だからと言って、年長者からの好意の贈り物を拒むほどへそ曲がりでもない。でも、その年長者自身の住まいが、いまだに学校によって割り当てられた年季の入ったアパートである場合、話は別だ。
ウェイウェイは家を受け取る際、若干の負い目を感じた。
大神が稼いだ金を彼の両親は一銭たりとも要求しないのだから、どう考えても大神自身にはそれなりの手持ちがあるはずなのに、なぜ親に買ってもらうのか、ウェイウェイは途方に暮れた。彼らはただ頭金を支払っただけと言うけれど、頭金だけでも数十万元と要する。大して実入りが良くない史学部と考古学部教授にとって数十万と言えば、下手すると貯蓄の大半に当たるかもしれない。
それに、自分たちは必ずしも新たに家を買う必要はない。それまでシャオ・ナイが住んでいた家でも悪くなかった。
シャオ・ナイは彼女の想いを理解した後、少々心外とばかりに説明する。 「彼らは学校で暮らすのが習慣になってるのさ。爺さんがかつてあそこに住んでたことがあるからね。うちの父さんが母方の祖父の教え子だった縁で、2人はあの家で知り合ったんだ」
シャオ・ナイはニッコリ笑って言う。 「それに、うちの親もそんなに貧しくはない」
後になってシャオ・ナイの母親であるリン教授がこの一件を知り、心の底からウェイウェイにより一段と好感を抱いた。人の善意にあぐらをかかないことは、世の中で美徳と呼ばれることのうちの一つだ。
リン教授はとても上機嫌になり、もうすぐ嫁となる娘から我が家は「火の車」と思われているのだから、彼女の前で「考古学の資金が足りない」などと間違っても口にしないよう夫であるシャオ教授に釘を刺す一方、自分の持ち物をひっくり返して探し回る。さらに何か贈る心づもりだ。
と言うわけで、挙式前夜にウェイウェイは、家伝の品と言われている羊脂白玉のブレスレットを受け取った。
これでウェイウェイは、やっと大神の言葉に噓偽りがないと確信する。どうやら本当に代々学者一家の名門らしい。傍目にはしがない暮らしに見えるが、きっと壁に何気に掛かっている書や絵画は値のつけられない大家の作品に違いない。
でも、むしろこのブレスレットはウェイウェイをかなり緊張させた。金に値はあるが翡翠には値がないと言われるくらいだから、羊脂白玉ならなおさらのこと。大神の母親は並の品質にすぎないと言っていたが、ウェイウェイはこのブレスレットを壊してしまいそうでパニックに陥った。だから、結婚式で一度だけ着用した後は二度と身に着けないと決めた。
十分に休息をとって、シャオリンがウェイウェイに催促する。 「早くドレスを持って来てよ」
「寝室へ見に行って。私は運べないの」
ウェイウェイとシャオ・ナイの挙式は中国式であるため、当然ながら花嫁衣裳は純然たる古式ゆかしい装束だ。宝石が光り輝く銀メッキされた鳳凰の冠、華麗に入念に金がちりばめられた大きな袖の羽織、精細で美しい刺繍が施された靴。それらはすべて夢遊2の花嫁衣裳を完ぺきにコピーしており、6、7個の大きな箱にぎっしり収められている。
スースーが慎重に鳳凰の冠を抱え上げる。 「この鳳冠、キレイね。私
、帽子みたいなもんだと思ってた。私はああいうの好きじゃないな」
「帽子なんかもキレイだけど、重すぎて」 ウェイウェイが言う。
アルシーが表面のビーズをいじくる。 「これ、いくらくらい?」
ウェイウェイが数字を口に出すと、アルシーが驚いた。 「マジ。アンタの頭の上にトイレ1つ載ってるなんて!」
「……もっと人聞きがいい場所を言えないの= =」 ウェイウェイはうなだれて、それからおずおずと弁解する。 「大神が言うには、価値が下がることはないそうなの。だから、お金を使ったうちには入らないって……」
シャオリンも相槌を打つ。 「10いくつものトイレを手に付けてる人もいるんだからさ、ウェイウェイは1つしか載っけてないんだし、何てことないってば」
アルシーはベッドの端にしゃがんで、スースーが手にした鳳冠を見る。 「価値が下がらないにしても、鳳凰が卵を産むわけじゃないでしょ。それでも価値があるの?」
「ほらっ、ウェイウェイが卵を産めるんだから大丈夫」
どういうわけか、ウェイウェイの頭の中に1シーンが浮かび上がった――真ん丸いつるつるした白い卵。突然、その殻が割れ、色白のぽっちゃりした子供が頭に卵の殻を載せてよろよろ這い出てくる。生き生きした黒い瞳で彼女を見ると、ピンク色の柔らかくて小さな口を開け……
ウェイウェイは彼が喚き出す前に、急いで想像力の車を停止させ、私は卵を産むんじゃない、私は胎児を産むんだ、と心の中で100回念じる……
「私はこの衣裳、好きだなあ」 シャオリンは婚礼衣裳の刺繍を撫でて、よだれを垂らさんばかりだった。 「どうして私たちが西洋の白いウェディングドレスを真似なきゃいけないの。絶対 伝統的な鳳冠や刺繍の肩掛けの方が綺麗に決まってる」
「そうそう」 アルシーが言う。 「私、子供の頃にね、カンフー映画の衣装がすっごく羨ましくってさ、よくシーツを体に巻きつけて時代劇の扮装に見立てたもんよ」
「ウェイウェイ、着替えてどんなだか私たちに見せてよ」
「私は着られなくて……」
すぐさま軽蔑的な視線が彼女に向かって放たれるが、ウェイウェイはへこたれない。 「まさか、できる人いる?」
3人の女子学生はその衣裳と帯の上にあるN本の紐を見て、互いに顔を見合わせる。すぐにスースーが話題を変えて、感慨深げに言う。 「ああ、お2人さんがこんなにすぐ結婚するとは思いもしなかった」
アルシーも追随する。 「うん、こんなに急いじゃってさ。卒業即結婚なんて、オメデタなんじゃない」
ウェイウェイは愚公たちに何度もからかわれていたので、アルシーのこの程度ではまったく動じない。 「遅くなったら、あなたたちが逃げ出しちゃってご祝儀を取り損ねるでしょ」
シャオリンにはかなり理解し難い。 「ウェイウェイはさ、ちゃんと結婚に同意したんだよね。なら何でもう2年、彼を待たせないの?」
スースーが茶化して言う。 「どうしてシャオ先輩が急かしてるって決めつけるの?もしかしたらウェイウェイの方が焦ってるのかもよ」
シャオリンが聞き入れる。 「そうか!逆の発想はまったくしてなかった。ウェイウェイ、プロポーズはアンタの方から?」
ウェイウェイはぼやく。 「そんなわけないでしょ」
アルシーが興味津々に問い詰める。 「大神はどんな風にプロポーズしたの?花はあった?指輪は?片膝ついた?」
「……アルシー、今どきのドラマだってそんなダサいことしないってば」
「早く教えなさい!」 アルシーが彼女を押す。
「えー、この2年間 私は彼の会社でインターンをやってたじゃない。だけど1度もお給料を貰ったことがないのよね。ある日、突然そのことを思い出して彼に要求したの。そうしたら、彼が……」
ウェイウェイはきまり悪そうな囧顔をする。
アルシーとスースーが期待して彼女を見ている。
「彼が言ったのは……欲しいものが金銭だったらないけど、人だったら1人いるぞって」
アルシーが吹き出した。 「お宅の大神ってホント、昔も今も陰険よね」
シャオリンたちが衣裳、靴、アクセサリーを一つ一つ丹念に見たり、触わり終えた頃には、すでにほぼ9時だった。もう帰らないと遅くなりすぎる。ウェイウェイは彼女たちを見送りにバス停まで行きかけるが、マンションの敷地を出る前に1台の黒い乗用車が現れ、ゆっくりと彼女のそばで止まった。
車のドアが開き、端正でピンと背筋の伸びた姿が車から出てくる。
「先輩」 シャオリンたちが口を揃えて呼ぶ。
シャオ・ナイが彼女たちに向かってうなずく。 「来てたのか」
街灯の光の下、2年後のシャオ・ナイはますます傲慢でエレガントになっていた。この2年間で、とうに卒業した先輩は在籍中の後輩たちの口伝えで ますます伝説化されている。
シャオリンたちはウェイウェイの前ではフランクな物言いのくせに、彼を前にした途端みんな知らず知らずおとなしくなる。
スースーが言う。 「私たち、帰るところなんです。先輩のお邪魔はしませんから」
アルシーは我慢しようとしたが、堪えきれなくて狡猾な笑みを浮かべて言う。 「先輩、今日はウェイウェイも私たちと一緒に帰ってお泊りさせて下さいね」
ウェイウェイは囧呆れて、彼女をじろりと睨みつける。私が寮に帰って泊まりたいと思ったら、同意が要るってわけ?!
シャオ・ナイはウェイウェイをちらりと見て、微笑みながら言う。 「今日はたぶん無理だな」
まともに取り合わなくてもいい質問に 彼はいとも真面目くさって答え、ウェイウェイを余計落ち込ませる。彼女は睨みを利かせる。
シャオ・ナイはその抗議の視線を見て見ぬふりして、細やかな心づかいでアルシーたちに言う。 「ずい分遅くなった。送って行ってあげよう」
シャオ・ナイはルームメイトを学校へ送って行き、ウェイウェイは家に帰ってベッド上の花嫁衣裳を片づける。整理しているうちに、突然あることを思い出して動きを止めた。改めて考えてみると、どうもプロポーズらしきことが1度あった。
その晩、このベッドで彼らはまた そこそこに事を済ませると、彼は彼女を抱き寄せてしばらく静かにしていたが、突然彼女の耳元で尋ねる。 「いつ俺を卒業させてくれるんだい?」
「ん?」 彼女は訳がわからず問い返す。 「何を卒業するの?」
彼が答える。 「俺はもう自己抑制学部で2年間、学んだんじゃないのか?」
シャオ・ナイと一緒にいる期間が長くなるに従って、ウェイウェイの理解力はいつの間にか人並み以上のレベルに達し、素早く分
して答えを出す。
自己抑制学部……自制学部……自制……ここまで考えて、ウェイウェイの顔は手にした服とすっかり同じ色になった。彼らは今年、冬休み明けとほぼ同時に一緒に暮らし始めたが、2人がいまだに最後の一線を越えていないと信じる人など誰がいるだろう。
花嫁衣裳を慎重にケースにしまいかけて、さっきアルシーが垂らして床についたせいで打掛の隅が少し汚れているのを見て取る。ウェイウェイはバスルームへ持って行き、水できれいに落とした。洗濯後、体がちょっとべたつく気がして、ついでにシャワーを浴びた。シャワーを終えてから、くだらない考え事に気を取られたせいで着替えを持って来なかったことに気付く。
家には誰もいないし、カーテンもしっかり閉めてはいるが、さすがにウェイウェイには服を着ないまま寝室まで行く勇気がないので、やむをえず大きな打掛を体に羽織るしかない。かなり薄くて透けているけれど、何も着ないよりはましだろう。
バスルームのドアを開け、ウェイウェイは足早に寝室へ向かう。しかし、寝室にあと数歩というところで ガチャッと音がする。ドアが開けられる音だ。ウェイウェイは身の向きを変え 凍りつく。
なぜこんなに早く帰って来たの?
ドアを開けた方も、あろうことか玄関に入った途端こんな光景が飛び込んでくるとは予想もしていなかったから、その手はドアノブを掴んだまま動かない。
ウェイウェイはあわてて前をかき合わせることしかできなかった。心の中では何も着ずに歩き回っていなくて良かったと喜ぶが、そんな彼女にどうしてわかろうか。こんな風に濡れた長い髪を振り乱した姿が、羽織っている薄地の打掛が半分濡れて 大きな袖が翻り、玉のように白い腕がちらちら現れる姿が、長い脚と細いウエストが見えつ隠れつする姿が、何も身に着けていないよりもどれほど誘惑しているか知るよしもない。
「式服がもう届いたのか?」 シャオ・ナイはゆっくりドアを閉める。
「ええ、午後に来たの」 ウェイウェイはひと言答え、自分がなぜこれを着てここに立っているのか説明する必要があると思った。 「今、シャワーを浴びたんだけど、着替えを持って来るの忘れちゃって。ちょうどこの服が汚れてて、バスルームにあったもんだから……」
「汚れた?どこが?」
「えっ、裾のところが。でも……」 ウェイウェイは無意識のうちに頭を下げて裾を見るが、まだ話し終わらないうちに腰を掴まれ抱き上げられる。彼がそばへ歩み寄り、彼女を抱きかかえて寝室へ運んでいく。
「着替えて見せてくれ」
「……着方がわからないの」
「俺が教えてやるから」
襟元を押さえていた手を掴まれて前がはだけ、服が肩から滑り落ちた。シャオ・ナイはウェイウェイを自分の脚の上に座らせる。2人を隔てているのはごく薄い1枚の生地だけ。彼女にはもう彼を見る勇気がなくて、頭を傾げ顔を彼の喉元に埋めた。
彼は本当に教えてくれた。彼女のために焦らず1枚1枚服を着せながら、ゆっくり落ち着いて着方を説明する。
下ばき、上衣、下衣、腰帯、単の上掛……燃えるような指が時々軽く彼女の体に触れる。
ウェイウェイは彼の言いなりになって、言われるがまま手を上げたり、立ち上がったりする。
最後にまた彼に抱かれて膝の上に座る。彼は彼女の踵をしっかり掴み、刺繍の施された靴を履かせてくれた。
彼女はすでに着付けを完了し、花嫁衣裳姿で彼の上に座っている。長い脚をだらりと垂らし、夕焼けのようにうっすら色づいていた。
シャオ・ナイはウェイウェイの全身を見つめてから、突然荒々しく彼女を抱き上げてベッドの上に下ろした。
花嫁衣裳はまるで火のようで、黒髪は滝のよう、肌は翡翠のようだ。
ウェイウェイは不安そうに彼を見る。彼は彼女の頭の両側に手をついて、髪の毛を押さえつける。静かに見つめる深々とした瞳は動かない。ウェイウェイはだんだんそんな視線に耐えきれなくなって思わず顔をそらす。
次の瞬間、彼に激しく唇を奪われた。
彼はのしかかって熱いキスの雨を降らせた。そこにはかつてないほど狂暴なまでの情熱を感じる。まるで押し込めていたものを解き放つかのような有無を言わせぬ勢いだ。
ウェイウェイは息もできないほどの強さでその唇を覆いつくされ、ただ彼の呼吸するリズムにぴったり合わせることしかできない。彼女は花嫁衣裳を剥ぎとられるのを、首筋を噛まれているのを、その責め苦のような愛撫を、彼のキスがだんだん下りていくのを感じた……部屋の空気がますます熱くなって、彼女の意識は朦朧とし、微かにうめき声をもらす。いきなり下半身がひんやりすると思ったら、スカートをまくり上げられた。
彼が突然止まった。
しかし、ウェイウェイはこの休止にあっても緊張を解けない。今までは大概ここでストップしていた……あるいは別のやり方にするか。しかし、しかし……。ウェイウェイはうつろな眼差しで彼を見る。
彼のシャツはすでにぐちゃぐちゃに乱れ、たくましい胸をさらけ出している。荒く低い喘ぎ声を上げながら、彼の燃える炎のような目は彼女をじっと見つめて微動だにしない。そして、スローモーションのように彼は彼女の手を掴んで、自らの腰のベルトへ導く。
ウェイウェイは彼の行動の意味することをすでに理解している。しかし、胸の鼓動が突然コントロールを失って体じゅうがこわばり、まるで指先さえもつられてぶるぶる震えているかのようだ。
「ウェイウェイ、気を楽にするんだ」
半ば強引に彼女の手を動かすよう強いながら、また彼女の唇をふさぐ。完ぺきなまでの我慢強さでもって、惑わせるような優しいキスを始める。
キスがだんだん後ろへ移動して、彼は彼女の耳たぶを咥え、かすれた声で耳元にささやく。 「ウェイウェイ、俺はもう待てない」
***
疲れきって動けなくても、翌日、ウェイウェイは体内時計に合わせていつも通り定刻に目を開けた。すでに空は明るく、日の光がぶ厚いカーテンを通して差し込んでいる。
彼女はぐちゃぐちゃに乱れた花嫁衣裳の上に横たわっていた。後ろから彼の懐にしっかり抱かれ、その腕は彼女の腰に巻きつけられている。身動きした途端、背後にいる人は彼女が目を覚ましたことに気付き、息がかかるほど身を寄せる。
「ウェイウェイ」 いつものひっそりした声が、欲望でかすれていた。彼女は朦朧としたまま応えてしまったらしい。うなじに軽く触れた唇が徐々に、徐々に……次に目を覚ますとすでにほぼ真昼だった。
体にじっとりした感覚を覚えて
ウェイウェイは目を開ける。ちょうど彼がタオルで彼女の体に残った痕を優しく拭いているところだった。ウェイウェイは少しきまり悪くて身をかわしたいと思うが、動こうとした途端、腰がとてもだるいことに気付く。腰を動かす力さえ残っていない。
シャオ・ナイが身をかがめてのぞき込む。 「シャワーまで抱いて行ってやろうか?」
ウェイウェイが頭を振る。
「体調が悪い?」
ウェイウェイはまたも頭を振る。彼を見て、腕を上げて、彼の首に回した。
今はただ、彼にもたれかかっているだけでいい。
結婚前の突発事故に対して、ウェイウェイはべつに後悔していないが、この出来事の後遺症はウェイウェイにひどい頭痛をもたらした。
後遺症その1。この婚礼衣裳= =
なぜなら……だから……つまり、その夜の後、婚礼衣裳はまったくもって……目も当てられない……しわくちゃなのは言うに及ばず、とてもたくさんの……痕跡がある。あいにく婚礼衣裳は貴重なシルクの生地で仕立てられていた。
シルクみたいな生地は繊細で扱いが難しく、ウェイウェイには洗い方がまったくわからないし、クリーニングに出すこともできない。しまいにはウェイウェイはアタマに来て、面倒を起こした張本人に押しつけた。
ゆえにシャオ・ナイはご多忙中にも関わらず、シルクの洗濯方法の研究に時間を割かなければならなかった。
後遺症その2。つまり、ふうっ……ウェイウェイは、挙式1ヶ月前にしてあまりにも賢明さに欠けた行動だったと痛感した。挙式直前にこんなにあたふたすることないよう、もっと早い時期に受けて立つべきだった。さもなくば、挙式後まできっぱり持ち越すべきだった。
最も忙しい時期に、自制心の塊と言われてる人の求めに応じなければならず、エネルギー不足は否めない。
6月は本当に忙しい。
まるであらゆることが1ヶ所に集まって一気に押し寄せたかのようだ。ウェイウェイは卒業し、結婚式の準備をし、夢遊2の最新プロモーション動画を公開しなければならない。その上、大神の会社も引っ越しをする。
この日の夜、シャオ・ナイは電話1本に応対した後、ウェイウェイを連れて外出した。
「どこへ行くの?」
「着いてから言う」
散歩のスピードでゆっくり歩いているうち、極致ネットカフェに着いた。閉ざされたネットカフェの正面入口の前に立ち、ウェイウェイはシャオ・ナイが鍵を取り出して通用口を開けるのを見る。そして中に入ってスイッチを押す。
明かりが煌々と照らす下、数百台のコンピューターが整然と静かにネットカフェ内に並べられている。
「明日、これらのパソコンは全部 搬出される予定だ」
「まあ、叔父さんは辞められたの?」
このネットカフェはシャオ・ナイがはるか昔に叔父と一緒に始めたことをウェイウェイは知っている。今やコンピューターの普及が進んでおり、ビジネスとしては以前に比べたら悪化しているが、叔父はノスタルジックな思いから廃業には消極的だった。
言わば、シャオ・ナイが初めてウェイウェイを見たのもやはりここだ。
シャオ・ナイはうなずく。 「今後 致一はここにオフィスを移す。すでに財産権の残り半分も買い取ったし」
一瞬驚いた後、ウェイウェイはネットカフェ内部をじっくり観察し始め、とても満足する。 「まあ、自分の場所を持ってるっていうのは最善だわね」
シャオ・ナイは笑って彼女と中へ入って行く。歩きながらオフィスの配置について色々と論じる。会議室はどこで、各部署はどこ……
あるエリアに来ると彼は突然止まって、ある一つの場所を見ながら言う。 「俺が初めて君を見た時、君はそこに座ってた」
ウェイウェイは彼の視線を追って見る。それは階段の真向かいの席だが、ウェイウェイは自分がかつてそこに座ったことをまるで覚えていなかった。
「フフ、本当はあなた、私に一目惚れしたんでしょ」 ウェイウェイは彼をからかう。 「今、発見しちゃった。あなたって実は送り狼なのよね」
シャオ・ナイは眉を吊り上げる。
「何か意見ある?」
「いや、そんな程度じゃ十分とは言えない」 シャオ・ナイが悠悠として言う。 「俺は少なくとも送り狼の中の飢えた狼だ」
確かに最近の誰かさんは、かなり飢えて かなりのケダモノだった……
ウェイウェイは言う。 「……恥と思わず誇りに感じてるだなんて!」
シャオ・ナイは言う。 「食べられるものが1つきりの雑食ではない送り狼からしてみれば、空腹じゃない方が恥だ」
「……私は2階を見に行ってきます」
からかったつもりが見事にやり返され、まさにこの世の悲劇だ。ウェイウェイはとても太刀打ちできず、一目散に2階へ逃げ出した。
彼女の姿が2階へ消えるのを見て、シャオ・ナイの口元にうっすら笑みが浮かび始める。
初めて彼女を見た時、どう感じたか?
時間がかなり経ち、あまりはっきり覚えていない。当初はたとえゲームの中で結婚したとしても、実際に会おうとは微塵も考えたことがなかった。
ただ、用事があって訪れたネットカフェでチラリと目にして、驚愕した。
この女の子の指さばきが非常に煌びやかで美しいと感じた。一目で引きつけられ、さらに数分間見ていた。彼女は実に的確なコントロールで、完ぺきなまでにギルド戦を制し、弱者ながら強者を倒した。
初めはただ、パソコンのモニターと彼女の舞うような指に関心を抱いただけだった。戦闘が終わる最後の瞬間になって、ようやく視線を彼女の顔に移動させた。
見る者に喜びを与える横顔である上、どこか見覚えがある。
記憶力の良さのおかげで、彼はすぐさま頭の中のデータベースから彼女の名前を検索した。
ベイ・ウェイウェイ。
遠くから見えただけで、周りの男子学生たちをかき乱すことができるベイ・ウェイウェイ。
その後、もう一度偶然があった。
彼はかなり長いこと夢游江湖にログインしていなかったが、夢游の資料を探しにアクセスした時、思いがけず【世界】チャンネルで頻繁に彼女の名前を目にした。
ここでは蘆葦微微と呼ばれていた。
覚えやすい名前なので、以前 彼女がギルドで戦っているのを見た時、しっかり記憶していた。とても斬新な名前だが、まあ命名者の怠惰で大して頭を使わず付けたのだろう。
彼女がまさか捨てられたのか?新郎を略奪するつもりなのか?
珍しいことに、シャオ・ナイもこの祭騒ぎに興味を持った。彼は1人で朱雀橋下へやって来て、見物人の中に埋もれている赤い影を見た。
彼女
本当に略奪婚するのか?
シャオ・ナイはゆったりと傍観していたが、潜在意識のどこかで、彼女には大きな剣を提げてあの薄情者を斬りつけに行く方が似合っていそうな気がした。最後に彼女がしゃがみこんで薬を売り始めた時、ゲームの中の誰もが動転し、パソコンの前のシャオ・ナイは思わず吹き出してしまった。
突然、彼女のために一肌脱ぎたい衝動が生じた。
この衝動がどこから来るのかわからないが、間違いなく彼の精密な頭脳の計算の中には見当たらないものだ。これまでいかなる人に対しても1度として生じたことがなく、しかも思いのほかとても強烈だった。
俺の後輩が、どうして他の人に捨てられてるんだ。どうしてあんな風に惨めな気分にさせられてるんだ。
だから、プロポーズした。
だから、盛大な挙式をした。
プロポーズをした時、彼女に承諾してもらえる自信はまったくなかったが、彼女がいともあっさり 「はい」 と言った時、彼の心の中にはすでにロマンスの芽が育っていた。
「あなたのデスクは多分この位置ね」
ウェイウェイは2階から声をかけるが、しばらく経ってもシャオ・ナイからの返答が聞こえないので、階段を駆け下りてくる。なんと彼はまだまったく同じ場所に立っている。
「何してるの?」
「さっきの君の質問を考えていた」 シャオ・ナイが頭を上げて彼女を見る。
「えっ?」 さっき私はどんな質問をしたっけ?
シャオ・ナイは微笑んで言う。 「もし、もっと前に今日という日を知ってたら、俺はきっと君に一目惚れしただろう」
もしも、俺がいつの日かこんなに君を愛すると知っていたら。
俺はきっと君に一目惚れをする。
《微微一笑很傾城》 本編 完
「雑食」に学ぶプロジェクトマネジメント
『JHolic閉店』を惜しむ声は大きいですが
実のところ、それと『kaveフランチャイズ展開』は
コインの表裏のようなもの、と私は思っています。
随分前になりますが…
雑食Kポファンの友人(ジェジュン“も”好き)が
別アーの追っかけついでにJホリ明洞店に行ってみたら
オープンして日も浅いのに閑散
としていた、とビックリしていました。
「あの地区にしては価格高めだし、先々ヤバいんじゃない?
」って。
ジェジュン関連のイベント以外で渡韓しない私は、
外まで伸びる長蛇の列・激込みごった返し・グッズ入手困難
しか知らず、想像もつかなかったリアルな現状。
受けた衝撃も大きかった分、「ファン相手商売はそんなに甘くない」
と強く印象に残りました。
ジェジュンが日本活動を本格化し
追っかけ渡韓するジェジュンファンは激減しました。
特に上客だった日本ファンが
店舗を訪ねることもグッズに興味を示しもしなくなれば
経営に響くことは想像に難くありません。
そして、ご本人が日本に腰を据えてやっていくつもりなら
今後の劇的な好転は見込めない。
代わりに、というか、並行して
ジェジュンはkaveの展開とその拡張に力を注いできました。
不採算部門(?)を整理し、商機のある方に集約するのは経営の“定跡”。
なので、Jホリ閉店と聞いて正直「あぁとうとう…」という感じで
残念とは思えど、驚きはしませんでした。![]()
私は、副業は基本反対しないし、
ジェジュンが興味のあることに
あれこれチャレンジしたいという気持ちも理解します。
でも、これまで携わってきた飲食店経営、
ぶっちゃけどれも維持できていないのは事実。
「ファンに憩いの場を」のコンセプトは歓迎ですが、
あれだけ内輪で好感を持たれていたJホリまでも…となれば
ファン相手の人気頼み商売には限界があるのでは?
と懸念を持たずにはいられない。
しかもkaveついては、いろいろ倫理的に疑問符が付きます。
例の癒着騒動もあったし。
⇒
その後だって、いくら耳をふさいでいても
あそこにまつわる芳しくない話は次々聞こえてくるし。![]()
なのにそのまま まるっと全国へ拡大って…大丈夫なの?![]()
とは、私に限らず思った人は多いはず。
何より、
一部ファンを経営に引き込んで特別な地位に格上げするのは
世間一般の常識に照らしてオカシイでしょう。![]()
さらには、
事業説明会に一般ファンを入れ、ファンミ替わりの様相
…って。![]()
その線引きの曖昧さ
いちいち危うくてハラハラしちゃう。![]()
でも
プレス発のジェジュン@事業説明会の映像を見ましたけど…
金屏風の前で笑顔でポーズを取り
マイクを持ってこれからの抱負を語るジェジュンは、
まるでドラマの制作発表会のよう。
あの大炎上もなんのその、
ご本人、むしろやる気満々な様子が見て取れました。
だからもう、
いろいろこのままなんだろうと思いました。![]()
事業拡大に当たっては、あの通り苦言・批判の直リプが殺到したし
だいたい日常あれだけエゴサ欠かさない人が
何も知らないわけがない。![]()
それでも押し切ってやる!というのだから。
伴う結果も全て受け止める覚悟なのでしょう。
…っていうか、そうじゃないと困る。![]()
三十路の大のオトナが、こんな風に自ファンを巻き込んで
大々的に商売やりますって喧伝しちゃったんですから。
名ばかり“社長”だろうと、責任は重大です。![]()
一部ファンの間には
「ジェジュンには愛の言葉だけ聞かせたい
」だの
「周りが悪いだけで、彼は全くの無実
」だのと
ファンが勝手に気を利かせて安全圏に逃がす傾向があるけれど、
果たしてそれがご本人のためになるか、といえば疑問です。
そんなに弱い人じゃない、過保護過ぎる必要はない、と感じます。
とにかく、
Jホリそのままの、ファン想いで優しいジェジュンも
どうしてもガッツリあのビジネスをやりたいジェジュンも
(この期に及んで化粧品販売まで
)
理想にぴったりなところも、都合の悪い部分も
同じ1人のジェジュンです。![]()
「こうあって欲しい」にそぐわない点があったとしても
ありのまま、そのまま、受け止めるしかない。
ただし、あの事業を「応援しろ」と言われてもムリ。![]()
![]()
そしてもし、副業が本業に差し支えてコケたら
その時はその時。![]()
ジェジュン自身が、また一から出直すしかない。
…と、事業説明会の彼を見て、私は腹をくくりました。
でもって、
私が彼にいよいよ愛想が尽き、魅力を感じなくなったら
離れるまでのこと。![]()
正直、それはやはり本業の“歌”次第であって
今は様子見
です。
ということで、今後のジェジュンに注目しています。![]()
とにかく、
ファン活ってもっとシンプルなものだったはず。
肩の力を抜いて、自然体でやっていこうと思います。![]()
雑食の研究成果発表サイト♪
おはようございます!
雑食ブロガーのなめこキリンでございます!
今朝の『旨し!』はセブンイレブンの弁当
大盛ごはん!のり弁当
税込480円
栄養成分
原材料名
ファミマでは、よく見かける『大盛り…ガッツリ』弁当ですが
セブンでも…
おかずは4品目…持つとずっしり重さを感じる
クオリティーはいつものセブンイレブンのお弁当
白身魚!
タルタルソースが欲しいとこですが…ありません
じゃがいもホクホクのコロッケ
鶏の唐揚げ、ちくわの磯部揚げ、焼きそば
ご飯の上には
海苔の佃煮におかか
その上に、しっとりとした海苔
別添えで醤油もついて
豊かすぎる…味わい
ご飯はもっこり!
食べ応えガッツリで
これでワンコイン(500円)弁当とは
嬉しい限りです!
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あのですね、

実家時代の作り置きたち。やる時はやります。
好きなもん食え!!
タンパク質も意識してみたり
めん類はときどき。
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