ブーメランと戦う日

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「そうだ、京都行こう」と思ったときに試してみたい5つのブーメラン

前回の続き。

※長いです。とても長いです。それと、本日は戦争の悲惨さと残酷さ、残虐さの画像を多く貼付しております。

自分は平気、大したことないとか、受けとめ方は個人差があるかと思いますが、そういうのが苦手な方は念の為ここで引き返すことをオススメします。

お読みになる場合は、『自己責任』でお願い致します。

そして非常に長いので、お時間のある時に読むことを合わせてオススメします。

キラとアスランの対立の構図で、僕は4つの構図を挙げました。

1、人間VS人形。2、経験者VS当事者。3、個人VS組織。4、男同士のケンカ。

僕はその中で「2」の印象が非常に強く、ほとんど「2」としてみています。

他にもこういう構図としても見えるな、こういう構図としてみても面白いかもって他の3つは見ているに過ぎません。

ただ、人間VS人形はラクスVSミーアでもやっているため、キラVSアスランにも当てはまるかなとは思っています。

では、本日は「2」を書いていきます。

アスランとしては、何で自分がキラと戦うんだ!?って感じなのでしょうが、そりゃ「キラは敵になる」だろうって僕は思います。

立場や陣営が違うからではありません。

何が言いたいのかというと、「ラクスの最後通告が現実のものになった」ということです。

前作SEEDで、ラクスはアスランに対し、こう最後通告しました。

ラクス「アスランが信じて戦うものは何ですか!?頂いた勲章ですか!?お父様の命令ですか!?もしそうであるならば、キラは再び敵となるかもしれません。そして、わたくしも

ラクス「敵だと言うのなら、わたくしを撃ちますか!?ザフトのアスラン・ザラ!」

キラ「この戦闘も、この犠牲もしかたのないことだって、全てオーブとカガリのせいだって、そう言って君は撃つのか!?今、カガリが守ろうとしているものを!?」

敵だと言うのなら~のラクスのセリフと、ここでのキラのセリフが何か似てるなぁって思ってみたり。

さて、ラクスが通告したように、「キラは再び敵」になりました。

理由は、「アスランが戦争の一部だから」です。

前作SEEDのキラとラクスが戦おうとしていた「敵」は、戦争というものでした。キラたちとザフト軍や地球軍との違いは、「敵を撃破して滅ぼすことや、勝つために戦っているのではない」ということが大きな違いです。

アスランは軍人のため、その戦争の一部ということになります。

ラクスがアスランに通告したのは、ここまで言ってもわからないのであれば、あなたはわたくしとキラの「敵」になるという意味です。

そうしてアスランは、自分の目で見て、考え、ザフト軍を抜けてキラたちと共に戦う道を選びました。

しかし、アスランは再びザフト軍に戻り、議長を盲目的に信じ、疑いもせずに諾々と従い、俺たちが正義だ、地球軍が悪だと言って戦ってしまっています。

これがアスラン自身がちゃんと自分で考え、アスラン自身の判断と責任で戦っていると言うのなら、キラはここまで激昂しなかったでしょう。

しかし、そうではないと25話のアスランが自分で言ってしまっています。

敵なのだから、戦うしかないじゃないか!と。「終わるまでは、しかたない」と。

この時点で、アスランは何も考えていないのは明らかです。考えてものを発言していないからです。

「終わるまで」の意味を考えたら、「しかたない」何て言えません。

議長を盲信し、盲目的に従っているアスランからは、自分で考えているようにはみえません。そもそも、議長は正しいからとも言ってしまっていましたしね。

これらを解説すると、アスランの頭の中では既に地球軍=悪=撃つべき敵として図式が出来上がっています。

地球軍の非道をやめさせなくちゃならないと言いながら、アスランは許しておけないという怒りから、力によってボコボコにしようとしています。許せねぇ!戦ってやる!と。

力でボコるというのは、力で力に対抗するということです。が、そうすると、地球軍側も力を増強します。対抗するために。やり返すために。当然ザフトもより強い力でもって戦うようになります。

一方が増強すれば、もう一方も増強します。それの繰り返しであり、それが延々と繰り返されるのです。

そうして行き着く先は、大量破壊殺戮兵器の登場であり、あの泥沼が待ち受けています。

アスランは全ての悪は地球軍で、正義はザフトにあるとキラとカガリに言ってしまっています。

以上のことから、「終わるまでは」というのは戦争の終わりを意味するものであり、ザフトの力でもって悪の地球軍をボコボコのフルボッコにして敗北させるということとなり、それは敵であるものを全て滅ぼすというパトリック路線となります。

アスランは、それこそが正しいと言ってしまっているのです。

アスラン「仕掛けているのは地球軍だ!じゃあお前たちは、ミネルバに沈めと言うのか!」←誰もそんなこと言ってません。むしろ守っています。

アスランは、「戦争している当事者の陣営に身を置いている」ため、いつしかザフト軍側からでしか物事を見られなくなっています。このアスランのセリフが、それを見事に表しています。

そして、議長を正しいと信じ、敵を撃って戦い続けようとしています。

キラは、ここで強く確信したことでしょう。

アスランは「敵か味方かと区分した見方」をしており、その敵である地球軍とオーブを全て滅ぼし、戦いによって平和を勝ちとろうとしていると。一度気付いた過ちをまた繰り返しているとって。

そりゃ敵でも味方でもないキラたちは、アスランの目には邪魔者にしか映らないに決まっています。

それを確信した以上、キラは退けるはずがありません。ここにいる地球軍とオーブ軍が全滅させられるのが分かりきっているからです。

それも、全部カガリ一人の責任にして。

キラたちがこうして介入してくるのは、カガリのためだけではないでしょう。

「先の大戦の経
験者」として、行かなければならない!黙って見ていることは出来ない!となるのは当然のことのように思います。

キラ「本当は何が正しいのか何て、僕たちにもまだ全然わからないけど。でも、諦めちゃったらダメでしょう?分かってるのに、黙ってるのもダメでしょう?その結果が何を生んだか、僕たちはよく知ってる。だから行かなくちゃ。また、あんなことになる前に」

正しく経験者の言葉です。

キラたちもまだ進む道の模索段階です。26話でも、まだよくわからないと漏らしています。しかし、わからなくても「これだけはいけない」ということがわかっているからこその、アークエンジェルの出航&行動だということは、キラのセリフからよくわかります。

しかたないと諦め、わかっているのに黙っていることや何もしないことはもっといけない。その結果、前作SEEDでキラはクルーゼの行動を許し、凄惨な戦いへの流れを食い止めることは出来ませんでした。

その最中、キラたちは自分には関係ない、知らないと、目を逸らして耳を閉じて何もしなかったからです。

悪い方向へと流されていく世界を前にして、何もしないことは罪なのだということをキラはよく知っています。その結果が何を生んだかも。(果てない憎しみの連鎖、際限なく争うばかりの世界。その流れ)

それを自分たちはよく知っているからこそ、再びそうならないようにするために行かなくちゃと言っているわけですね。カガリに行け!と言って出したのも、こういったことが理由であると思われます。

諦めちゃったらダメというキラたちアークエンジェルサイド。

しかたないと諦めているアスラン。(ミネルバサイド)

どちらか一方に味方したり、撃退する行動をとらない中立の立場の独立部隊であるアークエンジェルサイド。

そこには経験だけでなく、オーブの…ウズミ様の思想が強く影響していると言えるのではないかと思います。

キラ「ザフトの側についても、おんなじことだ。ただ、敵が変わるだけで」

カガリのお父さん(ウズミ様)の言うとおりだと、あの時キラは言っていました。

このままじゃ、地球とプラントは本当に滅ぼし合うしかなくなると。だから、僕も戦っているのだと。

Destiny30話でも、キラはこう語っています。

キラ「ザフトを討ってもダメだし、地球軍を討ってもダメだ。そんなことはもう、さんざんやってきたんですから。だから、憎しみが止まらない。戦いが終わらない」

これも経験者の言葉として、非常に重みがあります。

そして、ウズミ様が語っていたことに通ずるものがあると思います。

どちらかに加担し、一方を撃つ。それは敵が変わるだけで、結局は何も変わらないこと。

どちらか一方を滅ぼせば戦いは終わる。許せないから、憎いからと戦っていては、先の大戦の繰り返しです。だから、それはダメだと声を挙げ続け、どちらか一方に味方したり、撃退することをしないわけですね。「敵か味方か」といった概念が、アークエンジェルサイドにはないからです。

敵であるものを全て滅ぼすと、悪いから、敵だから戦うしかない。それはしかたのないことと言い、憎しみの連鎖も悲しみも何もかも忘却の彼方の戦争の当事者であるアスランと、それはダメなんだと経験者として守ろう、食い止めようと行動するキラたちが相容れるわけがありません。

何もかもが正反対でもあるわけですから。

人を…敵を排除する。殺して殺し続けることが軍人であるアスランの役目。

キラたちからすれば、それはスルーできないことではないでしょうか?

それが間違いだからです。敵だから、戦争だからと諦め、割り切ってしまったら終わりなのです。

アスランは戦争の一部になりました。戦って戦って、全て滅ぼそうとしています。

キラは自分たちの行動が間違いだとわかっていても、退くわけにはいかないでしょう。すぐそばには、自責と後悔の念でいっぱいで、この凄惨な光景に、戦いに心を痛めて悲しみ、悩み苦しんでいる人がいるのですから。

キラ「でも、カガリは今泣いているんだ!!」

「こんなことになるのが嫌で、今泣いているんだぞ!なぜ、君にそれがわからない!?」

「なのに、この戦闘もこの犠牲もしかたのないことだって、全てオーブとカガリのせいだって、そう言って君は撃つのか!?今、カガリが守ろうとしているものを!?」

このキラのセリフのバックでは、シンのインパルスが次々とオーブ軍の兵士さんたちを殺していくのです。

まず、オーブ艦のブリッジを次から次へと対艦刀でぶった斬っていきます。斬られた艦は爆発し、沈んでいきます。

ビームブーメランでオーブ軍のモビルスーツを真っ二つにします。真っ二つにされたモビルスーツは、爆散していきます。

そしてソードを振り下ろし、縦に真っ二つにします。真っ二つにされ、モビルスーツは爆散します。

艦の乗員、パイロットたちが次々と手にかけられ、その命を散らしていきます。

見てください。これを。

艦から脱出したと思われる、『ボートに乗ったオーブの軍人さんを』。

彼らが何を示しているか、わかりますか?

艦やモビルスーツの中に乗っているのは、人間である』ということを表しているのです。

艦の中には、多くの人間が乗っています。その人間が乗っている艦が次々と真っ二つにされ、突き刺され、海に沈み、爆発し、多く犠牲になっていっているのです。モビルスーツのパイロットも同様です。

『中に乗っているのは、人間』なのです。

そう思いながら犠牲になっていくところをみていると、何も考えずに盲目的に戦い、何の痛痒も感じずにこうして命を奪うこの非人間的行為を可能に出来てしまう『戦争』というものが、如何に恐ろしいものなのかなど、色々考えてしまいます。

目の前で自分たちの仲間が殺され、死んでいく。

それを見ている彼らは、何を思うだろうか…。

僕は、彼らの胸中に思いを馳せずにはいられないのです。

それに合わせて「カガリは今泣いてる!」というキラのセリフが、さらに胸を抉ります。

これらは『しかたのないこと』なのでしょうか?

何も感じないのでしょうか?

「敵だから」
、終わりにするためには戦って殺すしかない。それはしかたのないこと。

本当に?

一人でも助けたい。一人でも守りたい。そう思うことは、救おうとするのは『バカなこと』なのでしょうか?

アスランが何を言って何を撃ち、何をしようとしているのか。

正に今、シンがやっていることです。

敵を殺して殺して殺しまくって、全て滅ぼす。それが正しいと、守ることになると、戦いが終わると信じて戦っています。

みんながみんな、アスランやシンのように考えたら、どういうことになるでしょうか?

確かに戦争は終わります。敵であるものが全て死に絶えるのですから。ですが、終わるのは戦争だけでしょうか?

キラはこれを正しいと信じて戦うアスランを許すというか、認められないし、譲れないでしょう。黙って引き下がるわけにはいかないでしょう。

これが正しいこと何て到底思えないのですから。

キラ「このままじゃ、プラントと地球は、本当に滅ぼし合うしかなくなるよ。だから、僕も戦うんだ」

憎しみの連鎖の悲しみや痛みなど、キラやカガリにさんざん言われてきたのに、アスランはまた繰り返している。

「ザフトのアスラン・ザラ」は、勝つことを求め、敵を滅ぼし、やり遂げようとしている。

ラクス「敵だと言うのなら、わたくしを撃ちますか!?ザフトのアスラン・ザラ!

キラは何度でも現れ、立ちはだかるでしょうね。間違いを正すために。断ち切るために。食い止めるために。そして、『人間』を守るために。

直接手にかけて命を奪っているのはシンですが、アスランが殺して奪っているのと同義です。

それは、「ザフト軍だから」です。「ザフト軍である」というだけで、罪は同じなのです。

どういうことかわからない方は、SEEDをもう一回みるべきですね。

アスランは、決して忘れてはならないことさえも忘却の彼方です。キラやカガリに言われたことも全て忘却の彼方です。それが悲しかったですし、心底ガッカリしましたね。そして、本当に何にも考えていなかったんだなっていうのが丸わかりすぎて、呆れました。

僕は、アスランやシンのように思索を怠る人間が、戦争と同じくらい怖いです。

本気でそう思いました。

軍人としてのアスランよりも、人としてのキラやカガリの方に理解を示しますね、僕は。

ここらへんでカガリを叩いている人たちって、さぞ完璧に何でも出来る素晴らしい人たちなのでしょうね。成功続きの人生なのでしょうね。

わーすごいなー。うらやましー。←超棒読み。

次回は、4の男同士のケンカをお送りします。3は1に近いので、書きません。

ブーメラン ライオンはアフリカでは恋ができない。

金融政策と財政政策について、対立するかのように語られることが散見されます。

ラグなどから金融・財政の特徴について考えてみます。

マクロ経済政策に関するツイッターなどでのコメントを見ると、

「金融政策か財政政策のどちらが優れているか?」

「財政は効果があるが、金融は効果がない!」

「金融緩和したのに消費増税に負けた!」

などが見受けられます。

病気を治療するときに

「頭痛薬よりも胃腸薬の方が優れている!」

「胃腸薬は効果があるが、頭痛薬は効果がない!」

「点滴をうっていたのに、血液を体重の半分くらい抜いたら死んだじゃないか!」

と言っているようなものでしょうか(汗

なんでそうなるの…とも思います。

そもそも、マクロ経済政策とは何でしょうか?

基礎研WEB政治経済学用語辞典(*1)によると、マクロ経済政策には財政政策と金融政策があるようです。

“市場の失敗に対して政府が対処する政策には、個々の産業に対する規制や課税、補助金等の政策や、福祉・労働等の社会政策があるが、不況を防ぐことによって十分な総雇用を維持し、一般物価を安定させることも経済政策の重要な役割である。これが「マクロ経済政策」と呼ばれ、財政政策と金融政策に二分される。

 

 財政政策は政府によって担われ、不況からの回復には、政府支出の拡大や減税が行われ、景気の過熱を冷ますためには、政府支出の削減や増税が行われる。

 

 金融政策は中央銀行によって担われ、通常は特定の利子率(「政策金利」)を目安として、経済に出回っている貨幣の量(「貨幣供給量」)を調節する。不況やデフレの時は、貨幣供給量の増加を目指して金融緩和を行い、景気が過熱してインフレの時は、貨幣供給量を減らすために金融引き締めを行う。

 

 一般に先進資本主義国では、ブルジョワ階級に支持された政権は、不況対策に消極的で、減税やインフレ抑制、財政収支均衡を志向するマクロ経済政策を取り、労働者階級に支持された政権は、ある程度のインフレを甘受しても、総需要を拡大して失業を減らすことを志向するマクロ経済政策を取る。”(*1)

2014年4月の消費増税やそれ以降の政府支出削減は、景気過熱を冷ますためではなかったとしても、景気を落ち込ませましたね。財政政策の使い方を誤っている気がします。

金融政策では、日銀による「デフレ維持」がひどかったですね。第二次安倍政権以降の大胆な金融緩和でデフレ脱却しかかりました。デフレ脱却しかけただけで、雇用環境は大きく改善しましたね。

安倍晋三総理が推進した金融緩和は、労働者階級というか10〜20代(*2)、企業(*3)などに評価されているようです。

では、経済政策のラグ(ズレ、タイムラグ)を通して、金融政策と財政政策を比べてみましょう。

1)内部ラグ

経済情勢の把握から経済政策の実行迄

1-1)認知ラグ

経済現象を認知する迄

1-2)決定ラグ

政策当局が経済情勢を判断し経済政策の発動の決定を行う迄

1-3)実行ラグ

決定した政策を実行に移す迄

2)外部ラグ

政策実行から経済に効果が生じる迄

金融政策は決定ラグ、実行ラグが財政政策に比べて短く、外部ラグが長くなります。

金融政策は日銀の9人が金融政策決定会合(時には緊急開催もあり)で、即座に決定、実行することができます。過半数の5票を取ることが出来れば良いので、追加緩和が必要であれば、その政策提案に5人(片岡剛士さん、若田部昌澄さん、後3人)の賛成で決定・実行できます。

財政政策は、与党内の調整や国会での議論などを通じて法制化しないと実行できず、決定から実行までに時間がかかります。安倍晋三総理が消費増税延期のために(修正法案提出・可決に必須ではない)衆院解散したことを見ても、財政政策の決定から実行に時間とコストがかかることが分かります。

外部ラグですが、財政政策はどの部分にいくら、と直接的にお金を使うため効果が早く出ますが、金融政策は様々な波及経路を通じて経済に効果を及ぼすため、半年〜1,2年程度のラグがあると言われています。

安倍晋三総理は、デフレ脱却をかかげ、大胆な金融政策を推進するとともに、機動的な財政政策をアベノミクス第二の矢にかかげましたが、2013年度の財政拡張、2度の消費増税延期など以外は一般会計では緊縮的財政政策(SNA一般政府ベースでは微増)をとっています。

与党内の増税派や財務省に安倍政権が引きずられているのかもしれません。

安倍総理は、経済成長と財政再建の両立と言いながら(*4)、緊縮側へ引きずられてしまう残念さがあります。現状の財政状況を統合政府で説明して経済成長にこそ力をいれるべきです。

10%への消費増税を凍結せずに消費税率8%で(5%時に比べて)約8兆円のお金を更に吸い上げることを継続し、出国税や所得税の控除縮小など財政引締め的なことを着実に進めています。

減税と言えば、法人減税、復興法人税廃止、賃上減税くらいで、家計には冷たいままという印象です。

「PB黒字化がー」というのであれば、政府資産売却、政府紙幣発行など、増税以外の施策を黒字化するまで本気でやり切れば良いのではないでしょうか。外為特会の米国債を日銀に買い取らせる、政府紙幣を毎年20兆円デフレ脱却まで発行するとか、いかがでしょうか?

財政再建にはPB黒字化が必要だと思われている方は、拙ブログ記事(*5)をご一読下さると嬉しいです。PB赤字でも名目成長率が国債利回りを超え、政府の子会社と見做せる日銀が国債を450兆円程度保有しており、統合政府の純債務は100兆円を切っていると考えられます。

財政政策を行う際に気をつける点があると考えています。

景気対策として実施するもの(減税や給付金など)

恒常的に実施するもの(教育や国防費など)

を区別すること、そして、財政政策の効果を小さくしてしまう効果への配慮です。

浅田統一郎さんの著書(*6)では次のように書かれています。

“完全資本移動マンデル=フレミング・モデルにおいては、変動相場制下の財政政策は、一時的には有効であるが、長期的には無効になってしまうのである”(*6 , 190ページ)

原田泰さんの記事(*7)では次のように書かれています。

“第二に、金利が上がれば資本が流入して円高になる。円が上がれば輸出が減少して、公共事業の刺激効果を減殺するからである。これはマンデル=フレミング・モデルといわれるものの結果である。なお、クラウディング・アウト、マンデル=フレミング・モデルの意味するところは、「公共投資で景気を刺激したいのなら、同時に金融を緩和しなければ効果はない、もしくは減殺される」ということである。”(*7)

金融緩和を伴わない財政政策は効果が無いか減殺されてしまう、だから、金融緩和をやれ、という含意かと思います。

第二次安倍政権発足前の2012.10-12月、約493兆円だった名目GDPが2017.10-12月、約550兆円と57兆円増加しました。この増加時の経済政策は、拡張的金融政策+(13年度のみ拡張で後は増税含む)緊縮財政です。

野口旭さん、田中秀臣さんの共著『構造改革論の誤解』(*8, 166ページ)によれば、 1992/8〜98/11 120.52兆円の財出も40兆円弱の名目GDP増に留まり、デフレ脱却もままなりませんでした。

岡田靖さんは次の(*9)ようにデフレ脱却に必要な財政規模を推計されています。少し古いですが引用します。

岡田靖さん”現状を脱出するのに財政政策が妥当な政策という浜さんのご意見があっ たわけですが、これは財政によってデフレ脱却するためにどの程度まで景気を持ち 上げればいいかという推計に大きく依存します。私自身の推計では失業率が 3%程度まで下がらないと、需要面からデフレ、つまり労働市場の受給逼迫から賃金上昇、 そして物価上昇という経路は作用しません。

もしそれが正しければ、現状 5.5%程度の失業率を3%まで 2.5%動かさなければいけないわけですが、GDPとそれから失業率の間の関係を日本に関して推定すると、GDPが1ポイント動いても失業 率は 0.2 から 0.1 ポイント、つまりGDPを失業率の約5倍から 10 倍動かさなくてはいけないということがわかります。そうしますと2・5%の失業率の変化に必要なGDPの変化は12・5%から25%、金額にしますと50兆円から100兆円ということになります。これだけの財政赤字を何年かにわたって継続的に出し続けて、失業率を3%程度にペッグできるほどの財政政策を打つことができるのであれば、確かに金融政策は“つま”として使ってデフレ脱却はできますが、これを3年やったら先ほどの話ではないですが、その時点で日本財政は完全に破綻してしまう”(*9)

結構な規模での支出を継続する必要があるようですね。

東京のエコノミスト(片岡剛士さん?)が、田中秀臣さんの著書『デフレ不況 日本銀行の大罪』を読まれたうえで、次のようにまとめて下さっています。

”昭和恐慌の経済政策の経験は、デフレ脱却には金融政策が有効で、特に深刻な不況においては財政政策と金融政策のポリシーミックスが有効である、そしてこれらの政策により人々の期待を変えることが必要であるということだろう。更に高橋財政における「政策レジームの転換」の経験は、現代日本において「デフレは構造問題」「資金重要がない中で日銀がいくら資金供給しても無駄」という「日銀理論」から、「デフレは日本銀行の責任で解決する問題」で、「断固としてデフレに立ち向かう」という能動的なレジームへの転換を意味するという指摘は至極真っ当である。そしてこの指摘や経験通りの政策こそが、第二章の経済学者の提言を活かしつつ、今回の金融危機において実際に各国が行ってきたことではないか。“(*10)

金融政策と財政政策は対立するものではなく、それぞれの特徴(政策決定に関わる人数やプロセスの多寡、ラグなど)を考慮して、適切な政策割り当てが必要だと思います。

「デフレ脱却したら、財政出動を言えなくなるじゃないか!」とか

財政出動によるデフレ脱却を言う人が金融緩和を否定(*11)していたら、勉強不足か悪意のポジショントークであると思います。

注意しないとダメよ〜ダメダメ(^-^)

(*1)マクロ経済政策

(*2)若者の自民党支持率が高くなってきた理由 2012年が転機、保守化ではなく現実主義化だ | 国内政治 – 東洋経済オンライン

(*3)ロイター企業調査:安倍首相続投「望ましい」73%、安定重視


(*4)『安倍晋三首相「財政再建の姿勢変わらず」 財務省不祥事の影響払拭』

(*5) 「「財政再建にはPB黒字化が必要(キリッ)!」という新自由主義者?!」


(*6)「【本】マクロ経済学基礎講義 <第3版>」


(*7)ついに暴かれた公共事業の効果

(*8)構造改革論の誤解

(*9)第12回 ESRI-経済政策フォーラム「インフレ目標政策を巡って」議事録 岡田靖さん、浜矩子さんら

33頁:デフレ脱却のために必要な財政支出を推計

(*10)田中秀臣『デフレ不況 日本銀行の大罪』を読む

(*11)相関などを使いリフレ批判された方のブーメラン⁈ – Togetter



ブーメラン 関連ツイート

RT @maruyamahodaka: 丸山ほだかです。本日、国会会期が延長。審議を充実させなければなりません。本会議でまたブーメランの反対討論。反対議員曰く「何をするために毎日国会に来ているのか」「口をつぐんで椅子に座っているだけでは給料泥棒と有権者から言われないでしょうか」…
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